日時:2024年4月21日(日)8:30 ~ 15:00 曇り後雨
講師及びスタッフ:N森(山の会オフトレイル)、T内(山の会オフトレイル)、K口(滋賀山友会)、H谷川(滋賀山友会)、H本(ちごゆり)、M内(滋賀山友会)
受講生:N村、M代(滋賀山友会)、T成(滋賀山友会)、N堀(滋賀山友会、記録)
【報告】
4月10日のクライミング座学1で学んだ理論に基づいてロープワーク、ビレイデバイスの操作、セルフビレイ、懸垂下降について装備の仕方、手順を実践的に学んだ。
1. ロープのたたみ方。ロープは自分の肩に添わせるように掛け、自分の腕の長さを利用して長さを揃え最後は中心部に何度か巻き付けてループの中に末端を入れて処理する。ロープは50mあるので絡んで使えないという事態がないよう、迅速に的確にたたみ整えておく。
2. 登攀場所に着くと何より先にまずヘルメットを着用し落石等に備えることが大切。ハーネス装着後はロープをエイトノットに結びタイインポイントに下から通してフォロースルーで捻じれがないよう二重にする。体重をかけて一本ずつしっかりと締めることが重要。末端はオーバーハンドノットで処理し、結び目を密着させる。
3.クローブヒッチの練習。左右の手とカラビナのゲートの向き左右とで計4種類何度も練習した。親指を下にして奥のロープを掴むのがコツ。反対に親指を上向きにして奥のロープを掴むとムンターヒッチとなり、ビレイデバイスの代用にもなる。
4.学んだロープワークをセルフビレイ(安全確保)に応用する。まずスリングをガースヒッチで対象物に巻き付けるが強度低下を防ぐため、できるだけ折り返しの角度がないよう使用する。次にタイインポイントに装着してあるスリングでバックアップをとり、支点カラビナにメインロープをクローブヒッチで結び安全確保する。カラビナの安全環の締め忘れがないよう注意。またセルフビレイは落下時の衝撃を低減するため腰より上の支点にセットし、常にテンションをかけ張っておくこと。
5.ビレイデバイスの制動原理を理解した後、ビレイデバイスを利用して懸垂下降する手順を練習。ビレイデバイスはロープの屈曲と溝に食い込むときの摩擦力によりロープを制御。上下に引っ張ると摩擦力が最大でロープが止まり、カラビナで折り返されて平行になるとビレイデバイスがロープ上を滑り下降できる。まずバックアップとしてのストッパー(フリクションコード)のスペースを確保するため、スリングにオーバーハンドノットで結び目を作った箇所にカラビナを掛け、ビレイデバイスまでの距離を延長しておく。次にスリングでセルフビレイをセットし、メインロープを折り返して支点にかけ、ロープの末端の結束を必ず忘れずに行った後、投下。バックアップのフリクションコードをマッシャーでメインロープに巻き付けカラビナでビレイループにセットしてから、ビレイデバイスをセットし確実に制動するか確認。ロープを引いてロックした状態でセルフビレイを外し下降開始する。実際にバックアップとしてのフリクションコードがメインロープから両手が離れた状態でもどれくらい有効かぶら下がって体験し、また手で下にずらすことで下降を調整できることも確かめた。最後にアンカーへのカラビナの取り付けとしてマスターポイントのカラビナがスリングから外れるのを防止するため、スリングの片方を1回ひねり、もう片方のスリングと一緒にカラビナを掛ける流動分散方式も学んだ。
午後から小雨の中ではありましたが、東屋の梁をうまく活用してロープを張り、受講生4名に対して講師・スタッフの方々の方が多いという非常に贅沢な環境で熱くご指導いただいたことに感謝いたします。大変内容の濃い実技でした。
【一口感想】
〈講師・スタッフ〉
初級登山教室最初のクライミング実技は、覚えることも多く、すぐにスムーズにできるというわけにはいかないかもしれません。一つ一つ手順を分解しながら、ゆっくりでいいので何度もやってみてください。その際、機械的に結果を憶えるのではなく、意味を理解しながら頭に入れることが大切です。そうすれば、ど忘れしても手順をたどり直せる可能性が高くなります。実技を思い出しながら配布した資料を見返してみれば、実技前より納得できる部分も多いのではないかと思います。最後に一点、ロープの結束でも何でもそうですが、力を入れなければならない時は、手先だけでなく腕全体、体全体を使うことを心がけてください。(N森)
セルフビレイは基本中の基本です。取付きやピッチ終了点の現場で素早くできるよう練習を重ねてください。そのためにもエイトノット(八の字結び)とクローブヒッチは確実に身体で覚えることです。一つ一つ確実に身に着けることで安全で楽しい山行が広がります。(T内)
今回初めての実技という事で一番基礎となるロープワークでした。いくつか覚えれば良いのですが呼び名が複数あったり、上から下から右から左からと結び方が有り、また個々に覚え方が違ったり意外と覚えるのが大変だったりします。いずれにしても自分のスタイルを決めて、必ず正しく覚えるとにかく正しく。これを皆様にも守って頂きたいです。 (K口)
皆様1日お疲れ様でした。
今日はクライミングの基本的なシステムについての内容でしたが、本番では自分が登りかつ相方をビレイして行くことになります。なんとなくイメージはあるかも分かりませんが、わざわざロープで確保してもらいながら登るわけですからそれなりに危険な所を登ります。登り切った終了点やマルチピッチの各終了点などではけっしてほっと一息つける場所とは限りません。そして相方との信頼関係も必要です。完璧なシステムが出来上がっていても使う側が未熟であればとても危険です。時間はかかっても、例え忘れても何とか自力で正解を導き出せるように練習あるのみです。
どうか皆さん事故のないよう安全第一でお願いします。おそらく皆さん今現在クローブヒッチを忘れてできない方が多いと思います。せっかくなので少しお時間を使って頂いて何とか思い出して下さい。結びの形を思い出して下さい。宜しくお願いします。(H谷川)
〈受講生〉
クライミング実技一回目の講習に参加しました。色々なロープワークの意味を説明いただき、腑に落ちることが多々ありました。今後、実際の岩場で技術を使えるように、学んだことを研鑽していきたいです。 (M代)
初めての実技講習ということで少し不安もありましたが、小雨の中、講師の方々には、丁寧に指導していただきありがとうございました。ロープやカラビナの扱い方など、YouTubeなどではわからない細かい部分を教えていただき、大変役に立つ講習だったと思います。しかしながら、覚えることが多いので、身体だけではなく頭も柔らかくして、今後もがんばっていきたいと思います。来週もよろしくお願いします。(N村)
クローブヒッチを左右の手で何回も何回も練習して、右手では頭で考えてからではなく反射的に動けるようになりました。単に説明だけで進んでいくのではなく練習する時間をとってもらえるのは大変有難いです。次回以降もよろしくお願いします。(T成)
初めての実技を通じて、一つずつの操作、手順に二重、三重の安全確保の意味があり一瞬たりとも落下の危険がない状態を常に保つようシステムが構築されていることを実感しました。第一回の座学でスピード=安全という考えを教わりましたが、動作に無駄がなく緊張しても確実に操作がこなせることの必要性を感じました。(N
堀)