個人山行 スリル満点 ガクガクブルブル戸隠山

 【日にち】2022年11月6日(日)

【メンバー】K口(L)、K原、H谷川、S口、N西(記録)

【コース・タイム】

01:00戸隠キャンプ場(仮眠)

6:20戸隠キャンプ場―6:45奥社参道入口―隋神門―8:30五十間長屋―百間長屋―9:10胸突岩―9:25蟻の塔渡・剣の刃渡―9:50八方睨―10:50戸隠山山頂―11:35九頭龍山―12:35一不動避難小屋

―13:00帯岩―13:50戸隠牧場ゲート―14:15戸隠キャンプ場

 

 

 

 

 

 

 

 

  戸隠そばとスキー場は知ってたけど、こんなすごい山があるとは知らなかった。

 氷点下の夜の仮眠に始まり、山伏のほら貝響く山裾の神社、立って進めないほど切り落ちた岩の進路(蟻の塔渡り)、垂直にそそり立つ岩の壁の連続、凍った滝や河原の下降、広大な牧場の横切り・・・アトラクションの連続で飽きることがなかった。

 出会ったシーンや出来事のひとつひとつが濃すぎて、よほど疲れたのか夜は死んだように眠った。大人がこんなに夢中になれて、全てのしがらみを一時でも捨て去ることのできる山に登る(自然の中に身を置く)という活動はいったい何なのだろう。

 このような山行の魅力を味わえたのは、元気であること、信頼おけるリーダーや仲間がいること、素晴らしい晴天であったことなどの環境に恵まれたお陰だ。感謝の気持ちで一杯です。(S口)

 

 調べていくうちに戸隠山がやばい山だとわかり、不安に襲われながら山行当日を迎えた。

 5時間以上かけて、深夜1:00過ぎに標高1100mの戸隠キャンプ場に着いた。2台駐車している。男性はテント、女性は車中で仮眠をとる。外気はマイナス10℃近いだろう。3:00過ぎに外に出ると濃紺の夜空に満点の星空だ。空気が澄み切っているのだろう、星が近い。5:00でも空を見上げると星が瞬いていた。

 6:20朝焼けを眺めながら登山開始。大鳥居のある奥社参道から随神門を通過すると、約500m程の区間に樹齢400年を数える立派なクマスギ並木が続き、前方には戸隠山が見える。戸隠神社は二千年余りに及ぶ歴史を刻む神社だ。奥社社務所手前から登山道に入る。体も暖かくなり、登山届の提出と衣服調整をして登山開始。雲一つ無い青空で絶好の登山日和だ。急な登坂が始まる。登山道は霜に覆われた落ち葉でいっぱいだ。春はブナが青々しているのだろう。高度が上がると岩稜帯が近づいてくる。

 五十間長屋でヘルメットを装着する。体調が万全ではないK原さんはここで下山される。下山する前にS口さんと私に簡易ハーネスを着けてくれた。これから始まる岩場の難所に大きな不安があった私はとても嬉しかった。K原さんは9:00過ぎに無事に奥社に下山された。岩には江戸時代に付けられた鎖も残っていた。(もちろんこの鎖は使用してはいけない。)百間長屋を過ぎると、まず展望台のような岩が出てきて、そこから鎖場が続くが、手足の置き場があるので登ることができた。胸突岩からは絶景を堪能することができた。雪に覆われた穂高連峰、槍ヶ岳がきれいに見える。笑っていられるのもここまでだ。

 ついに蟻の塔渡にきた。最初だけ短い鎖がある。先を行くS口さんは歩いて行かれた。事前に見た動画では、「この場所で怖いと感じたら引き返す方がいい。」と言っていた。足が震えて動けないほどではなかったので馬乗りで行こうとしたが、足に力が入ってなかなか進まない。四つ這いで行こうと思ったが、重心がちょっと上がるだけで怖かったので、再び馬乗りで進む。下を見ないように言われたが、足の置き場を確認するために下を見てしまった。剣の刃渡りは更に幅が狭い。岩にしがみついて何とか渡った。後で写真を見たら必死すぎて笑えたが、その時は全く余裕がなかった(^^;) K口さんは“ケンケンパ”で渡られたのだろう。さすがだ。私は巻き道を確認する余裕はなかったが、崩れそうな巻き道を歩く方が怖いだろうとのことであった。

 無事に難所を通過し戸隠山山頂を目指す。目の前には更に難易度が高い西岳と、美しいシルエットの高妻山が見える。富士山もきれいに見える。戸隠山山頂でゆっくりと昼休憩をとっていると、男子高校生2人が軽快な足取りで登ってきた。蟻の塔渡は立って歩いてきたようだ。(この差は何なんだろう・・・)眼下に広がる橙色に色づいたカラマツの紅葉が可愛い。戸隠山から九頭龍山を目指すが、その登山道は大きな岩が切り立った崖っぷちだ。カールしている箇所もあり、吸い込まれそうだ。アップダウンを繰り返し、九頭龍山は思った以上に遠く、登山道には霜柱が残っており、滑りやすく足に負担がかかる。

 やっと一不動避難小屋が見えてきた。ここから沢沿いを下る。所々にロープが張っているが、とにかく滑りやすく油断できない。帯岩は足幅は狭いが、鎖を掴んで歩けば大丈夫だ。今までと雰囲気が変わり、だいぶん下ってきたように感じた。渡渉を繰り返す。足が疲れているので最後まで油断できない。目の前に広大な長閑な風景が広かった。牧場だ。残念ながら牧場はシーズンオフで牛や馬に会うことはできなかった。

 お天気に恵まれ、皆さんにサポートしていただいたお陰で、無事に下山することができた。本当にありがとうございました。