2022年8月11日(木)~12日(金)曇りのち雨
K口(L)、N西(報告)
2:00鍋平駐車場
(1日目)6:00鍋平駐車場出発―6:30穂高センター―7:30穂高平小屋―8:20白出沢出合―10:00滝谷避難小屋―11:30槍平小屋12:00―14:30南岳新道救急箱14:50―16:05南岳小屋にてテント泊
(2日目)7:20南岳小屋発―7:30南岳―8:30中岳―9:00大喰岳―飛騨乗越―9:30槍ヶ岳山荘―10:00槍ヶ岳―11:00槍ヶ岳山荘11:20―12:10千丈乗越分岐―13:15槍平小屋14:00―14:45滝谷避難小屋―16:15白出沢出合―16:55穂高小屋―17:30新穂高センター18:00―18:35鍋平駐車場
夜中1:40時点で新穂高温泉無料駐車場は満車。有料駐車場も3:00まで受付ができず、既に車が並んでいたため鍋平に駐車した。仮眠していると4:00頃から人の声がして皆が動き始めた。夜中の雨で滝谷避難小屋近くの木道が渡渉ができるのか心配する声が聞こえてきた。私たちも準備をして、鍋平駐車場にとめたので予定より1時間早く登山を開始した。
霧雨が降っていたがレインウェアを着るほどではなかった。鍋平駐車場から穂高センターまでは、雨で濡れて歩きにくい道を30分程下る。戻ってきた時に疲れた足でここを登らなければいけないのかと思うとぞっとする。穂高センターで登山届を記入して出発。そのころには霧雨は上がっていた。
林道を歩き、途中ショートカットして白出沢出合に到着。沢沿いを歩き進み滝谷避難小屋に着いた。沢の上部に薄っすらと雪が残っており、流れる水が冷たく火照った体を冷やしてくれる。沢にかけられた木道も問題なく渡ることができた。滝谷渡渉部にライブカメラが設置されているので、心配な時は事前に確認することができる。11:30槍平小屋に着き昼休憩とした。テントも張られていた。地図上ではそんなに距離はなさそうにみえたので、この時点では南岳新道の辛さなど知る由もなかった。
大きな沢沿いを20分程歩き尾根に入っていくが、道がわかりにくいので、GPSとペンキ印で方向を確認する。ここから樹林の九十九折れの急登が始まる。荒れた登山道には、梯子がかけられている箇所もあるが、壊れかけの梯子もあるの要注意。ワイルドな道だ。休憩を繰り返しながら歩くが、九十九折れの道は歩いても歩いても標高が上がらない。ときどき思い出したようにふき上げてくる風が心地よい。重いザックを背負って南岳新道を下ってくる人もいたが、足場が悪いため下りも油断できない。2100mの槍平小屋から、2600mくらいまで登れば少し雰囲気が変わると期待して歩いたが、どこまで登っても樹林はいつ切れるともなく続き、1歩がなかなか出ない。2時間程歩き2500m。やっと半分くらいか。2600mの壁は遠かった。下を向きひたすら歩き続けると、少しずつ景色が変わってきて尾根道へ出た。尾根道へ出ても急坂が続くが、聳え立つ山々を見渡すことができ、これまでとは景色が変わり少し気持ちに余裕がでてきた。
樹林が低くなり森林限界のようだ。暫く歩くと救急箱が設置されていた。槍平小屋が好意で設置してくれているようだ。ここが2600m地点。それでもテント場まで400mある。歩かないとテント場に辿り着けない。暫く平坦な道になり、そして穂高の山々を見渡しながらの快適な稜線歩きになる。岩のペンキ印に沿ってじぐざぐに登っていくが、もう足はくたくたで喘ぎながら足を運ぶ。途中、危険な岩場もあるので油断できない。“南岳まで40分”と書かれている。前に見えるのが南岳か。いや、にせピークだ。頂上が近いと思わせながらテント場はまだ先だ。ほとんど根気がつきようとした時、カラフルなテントが見えてきてやっと本当の頂上が現れた。槍平小屋を出てちょうど4時間だ。
受付をしてテントを張るが風がきつい。大キレットもジャンダルムもガスで覆われ姿を現わしてくれない。夕食後、展望スポットに行くとガスが抜けてきて、険しい山々が姿を現し暫し見とれる。ここにいる何人かが明日チャレンジするのだろうか。天気が心配だ。夜は疲労が刺激になってなかなか眠れず、風音でも何回も目が覚めた。
翌朝、4:00に起床するが雨が降っているためテントで待機。暫くすると皆が動き出した。生憎の天気で大キレットを断念する人も多くいた。私たちも朝食をとり、テントを片づけレインウェアを着て、7:20に槍ヶ岳を目指して南岳小屋を跡にする。再び南岳にくることはないだろう。その時は大キレットにチャレンジするときだろうか。私にそんな日がくるとは想像できない。天気が良ければ3000m級の山々の稜線を行く展望抜群の快適な登山道だが、生憎の天気で景色は望めない。
中岳、大喰岳を通過し約2時間後に槍ヶ岳山荘に到着。雨は降り続いている。山荘には槍ヶ岳登頂を断念している人も多くいるが、リーダーの言葉を信じて登る。ガスで景色は見えないが、お陰で高度感を感じることはない。三点確保でしっかり確実に登る。悪天候のため登頂者は少ないが、それでも渋滞し待っている時間が寒い。梯子は最初は怖かったが、逆に梯子があることで安心して登れる。山頂で記念撮影し早々に下山する。景色は見えなかったが、槍ヶ岳に登れたことで一つ壁をクリアできた気がした。
山荘で天気を確認すると、台風の影響で明日も天気は崩れるとのことで、双六岳には行かず1日早く下山することにした。千丈乗越から奥丸山経由で下山するか迷ったが、飛騨沢から下山することにした。お花畑を下山し、振り返ると双六岳への稜線が見え、人が歩いているのが小さく見える。今から槍ヶ岳へ向かう人もいるが、今後のお天気が気懸りだ。お花畑に癒されながら下るがこの道も長い。昼過ぎに槍平小屋に着き昼休憩とする。雨も上がりゆっくり休憩をとる。昨日登ってってきた道を下るが、大きな石がゴロゴロしたこの道は疲れた足には辛い。滑らないように注意する。滝谷避難小屋近くの木道も問題なく渡れた。白出沢出合からは下りの林道歩きでスイスイ進む。17:30穂高センター到着。落とし物を届けて、“まだ終わりじゃないよ。”と自分の足に言い聞かせて鍋平駐車場までもうひと頑張りする。
よく歩いた濃い2日間だった。温泉に入り家路に向かう。昨年の奥穂高岳に引き続き、K口リーダーには大変お世話になった。感謝しかない。