個人山行 広河原から鳳凰三山縦走

【日にち】2021年10月21日(木)~22日(金)
     1日目 晴れのち曇り、2日目 曇り

【報告】 T本 

【コース・タイム】 

自宅からマイカーで新名神、新東名、中部横断自動車道を経由して夜叉神峠登山口まで。車中泊をして朝一番のバスで広河原へ。
 
[1日目]
広河原(06:30)・・・白鳳峠入口(06:40)・・・ゴーロ帯の下(09:05)[休憩 10分]・・・白鳳峠(10:10)[休憩 05分]・・・高嶺(11:45)[休憩 40分]・・・アカヌケ沢ノ頭(13:20)・・・地蔵岳(13:35)・・・鳳凰小屋(14:30)
[2日目]
鳳凰小屋(05:10)・・・鳳凰小屋分岐(06:25)・・・観音岳(07:00)[休憩 05分]・・・薬師岳(7:40)[休憩 05分]・・・薬師岳小屋(08:00)[休憩 10分]・・・南御室小屋(09:05)[休憩 15分]・・・辻山(10:05)・・・苺平(10:20)・・・火事場跡(10:55)・・・杖立峠(11:35)[休憩 10分]・・・夜叉神峠(12:40)[休憩 10分]・・・夜叉神峠登山口(13:35)

 

 【記 録】
 急に冷え込んだ10月後半、南アルプスの鳳凰三山の縦走山行に行ってきました。
 初日は、夜叉神峠朝5:32発のバスで広河原へ向かいました。乗車したのは北岳に向かう3人組と私だけでした。広河原の登山センターで登山届を出すと、センターの人が「今日は絶好の登山日和ですね、振り返ると北岳がドーンと見えますよ。楽しんできて。」と送り出してくれました。
 白鳳峠コースを登るのは一人だけ。心細い気もしましたが登山口からいきなり急登で、感傷に浸る余裕もなく高度を稼ぎます。はじめの1時間ほどは木の根と岩のアスレチックのような登り。四連はしごを登り終えて、しばらくすると南アルプスらしい苔に覆われたシラビソ林の登山道。そこを抜けると視界が開けるゴーロ帯に出ます。振り向くと薄く雪をかぶった北岳の雄大な姿が間近に見え、日差しも高くなってきたのでここで朝食休憩。
 ゴーロ帯を1時間ほど登り、小さい樹林帯の稜線に着くと白鳳峠。木々の間から甲府盆地も見えてきます。そこから高嶺への稜線の登山道は、枝先に雪をつけたハイマツを手でかき分けながら登っていきます。高度が上がるにつれて後方に仙丈ヶ岳やアサヨ峰、甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳が見えてきて、何度も振り返りながら登ります。
 高嶺の中腹で広河原に下山するという今日初めての登山者に出会いました。山頂では遠く北アルプスや富士山までよく見えるとの話で、期待も高まります。高嶺の頂上付近はルートもはっきりしないゴツゴツとした岩場で、鎖やはしごもなく、薄く積もった雪に残っている先行者の足跡を頼りに、三点確保を意識しながら登りました。
 高嶺山頂は絶景。南・西方面は少し雲が出てきて、富士山は頭がほんの少し見えただけでしたが、遠くの北アルプスなどもはっきり見ることができました。ここで昼食休憩をしてから、地蔵岳へ。稜線を進むにつれてオベリスクが近づいてきます。
 アカヌケ沢の頭から賽の河原に下ると、青空をバックにオベリスクが大きく見え、まるで古代の建造物のようだと感激。そこから砂漠のような道をザクザクと下り、樹林帯を抜けて鳳凰小屋に到着。
 鳳凰小屋では、豊富に流れる天然水を水筒に詰めて、晩ご飯のカレーをおかわりし、談話室のこたつで足を温めて、早々に就寝。夜中に小屋の外のトイレに行くと、夜の冷気の中で丸い月があたりを照らして幻想的な雰囲気でした。
 2日目は4時半に起きて朝食の弁当を半分だけかき込み、5:10に出発。ヘッドランプのあかりで、小屋の前の沢を渡って観音岳に向かいます。曇っていましたが北東の空が開けていて、少しずつ明るくなってきます。甲府盆地は雲海の中、八ヶ岳や奥秩父の山塊がぽっかりと浮かんで見えました。
 縦走路の鳳凰小屋分岐に出ると、白峰三山の方から冷たい風が吹きつけ、時おり雪も飛んできます。観音岳の山頂では、遠く雲の下に日に照らされた北アルプスの峰々が白く輝いて見えました。一方北岳をはじめとする南アルプス連山は薄い雪雲が覆って厳しい表情。
 稜線を進んで薬師岳に着くと、やや空も明るくなって白峰三山もきれいに見えてきました。薬師岳小屋から砂払を過ぎると展望の良い稜線に別れを告げて、樹林帯の中の長い下り坂になります。
 しばらく進むとテント場もある南御室小屋。ここで水をくんで少し休憩。この季節・時間ということもあり閑散としていました。小屋から登り返す登山道はなぜかとても広く、まるで熊野古道の風情。途中に辻山への分岐が有り、「甲斐ある寄り道20分」と展望のある辻山へのお誘い看板が掛かっていました。辻山から苺平へ森の中を歩き、さらに下ると明るく開けた尾根道あたりが火事場跡。ここも向かいの間ノ岳などが展望できる場所ですが、あいにく雲があがってきて展望は有りませんでした。
 杖立峠から夜叉神峠までは唐松などの立派な森の中、南アルプスの豊かな自然を楽しみながら歩くことができました。最後は霧が流れてきて小雨もぱらつく中でしたが、夜叉神峠駐車場までゆっくりと下山しました。樹林帯やゴーロ帯、岩場や白い砂漠や奇岩など変化に富んだ登山道と絶景を楽しむことのできた二日間の山行でした。