日 程: 2019年3月16日
天 候: 曇りのち晴れのち曇り
参 加 者: K坂、K澤、M本、B場、M内、MI(会員外)、H江(L/記録)
コースタイム
永源寺支所集合6:00、時山集落内駐車地7:40、毘沙門谷出合8:20、毘沙門谷源頭10:50、ダイラの頭11:05、ダイラ12:00~12:30、琵琶池13:25、駐車地14:40
コース概要
記録
毘沙門谷は、岐阜県大垣市から養老町の北部を流れる牧田川の支流で、美濃・近江・伊勢国境の三国岳よりやや北西、美濃と近江の国境稜線に源頭がある。とても緩やかな沢で、かつて大垣の上石津時山集落の人たちが炭焼きに使った沢沿いの古道と窯跡が今も残る。ダイラは、毘沙門谷より東、同じく牧田川支流の阿蘇谷の源流に広がる別天地で、毘沙門谷より辿ると、尾根をひとつ乗越さなければならない。
ダイラへは数年前に阿蘇谷から辿って一度きり訪れたことがある。荒れた谷の斜面をよじ登って突然開けた桃源郷のような場所。緩やかな起伏の疎林の明るくて広い広い原っぱ。あたり一面しきつめられた落ち葉の絨毯の中に点在するノスタルジックな炭焼き窯の跡。先の道のりが長かったから、足早に通り過ぎた。いつも頭の片隅でもういっぺん行きたいと思っていたけど、阿蘇谷も毘沙門谷も、沢筋の道を一人で辿る勇気がなかった。寡雪でスノーシューの出番がすっかりなくなった3月中旬の週末、やっとチャンスが巡ってきた。K坂さんがロープを持って一緒にいってくれると言う。いつもの常連さんもみんな集まってくれた。
石槫トンネルで県境を越え、三重のいなべよりさらに北上し、岐阜の大垣へ入る、そして県道多賀上石津線を多賀へ向けて少し戻ったところにダイラへの発着点の時山集落は、ある。新緑や紅葉の時期にダイラへ行く人は多いかもしれないけど、今の時期に行く人はたぶんいない。車を停めて県道を出合に向けて歩いているときに一人だけ釣り人に出会っただけで、やっぱりあとは誰にも出会わなかった。でも今は、飾り気のないそのままの森を感じることができる。
毘沙門谷出合が近づいたら、県道から牧田川へ下りる。楽しみにしていたバシャバシャ長靴歩きが始まる。登山靴で参加のメンバーはみんなつわもの。わたしだったらすぐにドボンしてしまうところも上手に渡り歩いている。写真で見た毘沙門谷出合にある風情のある木橋は今も掛かっていた。でもたぶんもう渡れない。トップはK坂さん、二番手は、地図読み助手のM内さん。今日はM内さん以外GPS禁止。紙地図とコンパスだけのほうが楽しい。でしょ。
毘沙門谷は、なんか懐かしい感じがする。昔々生まれ変わる前ここに住んでいたのかもしれないみたいな。とにかく誰かがここに住んで、ここで炭を焼いて生活していたのだと思うと、なんか安心する。今もそこらへんで炭焼きのおっちゃんが炭を焼いて見守ってくれているような気がして、居心地が良かった。そして風景が美しかった。前を歩いているメンバーが、フクロウが飛んできたと言う。今日はなんかいいことあるかもね。最初は右から左から出合う枝沢を数えながら進んでいたけど、最後はもうわからなくなってきて、ただの勘で行く。でもちゃんと美しく弧を描く源頭を見上げることができた。最後まで沢をつめて得られる極上のごほうび。ここからダイラへは、決まった道はない。ダイラへ早く行きたいという一心から、このコルから急斜面を激下りしたり、トラバースしたり、危なげなルートも錯綜している。わたしたちは、ダイラの頭を越えて阿蘇谷の上部より下り始める。ところがリーダーの間抜けな確認ミスで、超ハイリスクアトラクションのおまけ付き。半ばヨレヨレでダイラの端っこでランチ。次第に空模様があやしくなってきて、琵琶池に向かってダイラを彷徨う。ここにも決まった道などなく、だいだいあっち路線。毘沙門谷もダイラも良かったけど、琵琶池の尾根も疎林ですてきな雰囲気だった。誰かが琵琶池のことを「シシの湯」とか言って、上手いこと言うなあと感心してしまった。B場さんの「私ここでお茶会したい」の一言で、琵琶池の少し先の気持ちいい尾根の真ん中で店開き。極上のひとときを過ごした後は、もうキケンなアトラクションはなくて、わきあいあいと無事集落に下りることができました。今回も、満ち足りました。皆さま、ありがとうございました。
(記:H江、写真:K坂&H江)
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