飯豊山縦走

日   程:2016年8月3日(水)~7日(日) ※山行は8/4~6

参 加 者:Y森(CL) N野(SL,救急) K西 A部 T中ヒ

概   要:距離 3日間で約36k   総累積標高差 登りのみ約3000m(3日間)
行動時間(歩いた時間のみ) 1日目 10時間20分 2日目 10時間30分 3日目 8時間5分

飯豊山縦走ルート1
飯豊山縦走ルート1
飯豊山縦走ルート2
飯豊山縦走ルート2

8月3日(水)滋賀~民宿「高見台」

天   候: 晴れのち曇り

 長い間、登りたかった山、東北飯豊連峰。念願かない山中2泊3日(8/4~8/6)の行程で飯豊の稜線歩きが実現します。かなりハードなので体調管理をしっかりとと自分に言い聞かせます。
 8月3日(水)、大津を6時15分出発。新潟、福島県を走り、14時30分登山口近くの民宿「高見台」に到着。明日の荷物を整理しながら民宿のおじさんのお話を聞いたり、お風呂にも入り、、そして夕食は、めずらしいキノコや山菜が並べられてとても美味しかったです。(ビールもちょっと飲んで)。明日からの飯豊縦走に思いを馳せながら就寝です。

(記 A部)

民宿「高見台」さんのお庭にて
民宿「高見台」さんのお庭にて
夕食は山菜が中心のお料理
夕食は山菜が中心のお料理

8月4日(木)川入~飯豊本山小屋

概   要:行動時間 10時間20分、 距離 9.8K  累積標高差 登り1,550m

コースタイム:下南沢登山口(725m)5:30→7:30横峰7:40→8:40地蔵山分岐(1440m)→9:35剣が峰(1560m)9:45→10:10三国岳(1644m)10:55→12:20種蒔山(1791m)12:30→12:45切合小屋13:00→13:40草履塚(1908m)13:50→姥権現→御秘所→15:40本山小屋(2,102m)

記   録

 地図を見ると、飯豊連峰の大部分は山形県と新潟県が占めるが、主峰である飯豊山は福島県喜多方市に属する。それは、この山が会津の人々にとって深く長い特別な関わりをもつ山だからだろう。飯豊山は明治時代までは女人禁制の山で、地元の男子の成人儀礼として15歳までに飯豊山の山頂に登る「御山掛け」が盛んに行われていたという。以下、高山植物と残雪、豊富な水量と連峰の風格に魅了された3日間の山旅を報告する。
 初日の朝は、前夜泊まった民宿の方に短縮ルートの下南沢登山口まで送って頂いた。ブナ林の中を快適に進むこと2時間、横峰に到着。ここで、川入登山口からの本来の表参道と合流する。そこから40分ほどで水場に到着。冷たい清水で涼をとるが、それでもなお暑い。出発から3時間余でやっと稜線にでる。ブナ林の樹林帯が切れ、三国岳への峻険な岩稜帯「剣が峰」が始まる。1時間要して「飯豊詣」の第一関門を無事通過、
出発から4時間40分で三国岳避難小屋に到着。朝からずっとガスにまかれていた割には蒸し暑くて、かなり体力を消耗した。小屋の周りにはミヤマクルマバナが満開。避難小屋は水洗トイレ完備でとても清潔。早めの昼食後、ガスの切れ間から遥か北方に望む山々を目指して出発。ここからは稜線のアップダウンを繰り返す。はしごあり、岩場あり、雪渓ありのタフコースに、重いザックが負担になってくる。 
切合小屋に到着。 水が豊富に使え食事もできる快適な山小屋。ここに泊まって本山を往復する登山者も多い。かつて修験者たちが草履を履き替えたという草履塚を越えると、その先には面白い逸話がある姥権現が、さらには峻険な切り立った岩尾根の御秘所が待ち構えている。こうした由緒ある歴史的なポイントを過ぎると、最後の御前坂を迎える。嬉しい花々が、タカネマツムシソウ、ニッコウキスゲ、チングルマ、ハクサンシャジン、ヨツバシオガマ、ヒメウスユキソウ、ハクサンイチゲ等々。お花畑に癒されながら、本日の目的地である本山小屋に到着。小屋から、鳥海山や朝日連峰、磐梯山が展望できた。川入の民宿に泊まったおかげで、本日は食事も提供して頂ける。管理人さんが山頂で拾ったという六文銭を見せて頂き、不思議な巡り合わせを感じながら眠りに就いた。

(記 N野)

剣ヶ峰と呼ばれる岩場を越えて
剣ヶ峰と呼ばれる岩場を越えて
三国小屋前で、ここは三国岳山頂
三国小屋前で、ここは三国岳山頂

可愛くチングルマ
可愛くチングルマ
咲き誇るタカネマツムシソウ
咲き誇るタカネマツムシソウ

御秘所を登るN野さん
御秘所を登るN野さん
慎重に御秘所を通過
慎重に御秘所を通過

やっと本山小屋が見えました
やっと本山小屋が見えました
本山小屋の隣に飯豊山神社があります
本山小屋の隣に飯豊山神社があります

飯豊山、本山小屋の夕日
飯豊山、本山小屋の夕日

8月5日(金)飯豊本山小屋~飯豊本山~梅花皮小屋

天   候:快晴

概   要:行動時間 10時間30分、距離 16.2K、累積標高差 登り1,000m

コースタイム
5:00本山小屋発→5:25飯豊山(2105.2m)5:35→5:50駒形山(2038m)→6:25御西岳(2012.5m)→6:50御西小屋→8:35大日岳(2128m)飯豊連峰最高峰8:55→10:35御西小屋10:55→11:40天狗の庭→12:30御手洗の池(1856m)12:45→14:15烏帽子岳(2017.8m)14:30→14:50梅花皮岳(2000m)→15:20梅花皮小屋(1,860m)着

記   録

 緑に覆われたおおらかな稜線と雪渓のコントラスト。真っ青な空。きのうは辛い急登をいくつも耐えてきたのだから、今日はお花を楽しみながら、悠遊と稜線漫歩を楽しもう。
 本山小屋の朝食(レトルトの親子丼か中華丼を選べる&味噌汁&果物)を頂いて元気に出発。ゆったりした稜線を辿ると飯豊山はすぐそこだ。100名山登頂を目指す山森さんにとっては98座目。いよいよですね。皆で拍手のささやかなお祝い。ところが調子良いのはこの辺りまでで、天気が良すぎて暑いのなんの。2000mでも東北だから涼しい、なんて思い込んでいたのが大間違い。いけないと分かっていても、喉を鳴らして水をゴクゴク。塩舐めて、又、のどが乾いて、ポカリも飲みすぎて気持ち悪い。何をしていることやら…小屋の管理人さんは「次の水場まで500もあればいいよぉ」なんておっしゃるが、信じちゃだめだ。死んでしまう… 
 暑さとの戦いで、稜線漫歩とはいかなかったけれど、やっぱり飯豊の景色は素晴らしい。特に大日岳(飯豊連峰の最高峰)からの眺めは360°の大パノラマ。感動を通り越して呆然・唖然としてしまった。幾重にも重なった山々。尾根が長い、谷が深い。そして、これまで歩いてきた三国岳~飯豊山~御西岳の稜線が一望できる。本山小屋も見える。こんなに長い稜線をよく歩いて来たものだ。そして、これから目指す烏帽子岳~北股岳の稜線も一望できる。あの烏帽子を越えれば今日泊まる梅花皮(カイラギ)小屋だ。目標が見えたら俄然気力が沸いてきた。
 そして、高山植物の種類の多さと群生にも感動。一番見事だったのは烏帽子岳手前の広い斜面。全体が色とりどりの花で覆われ、その中を登山道が続いている。薄紫で菊の花に似たタカネマツムシソウ、上品なピンクのタカネナデシコ、形が愛らしいハクサンシャジンがお気に入り。白いイブキトラノオが風に揺れて涼しげだった。烏帽子岳を越えると固有種のイイデリンドウの群生。丈は低く、花は濃い紫で、直径1.5cm位の5弁、他の花の影に隠れるように咲いていて、その奥ゆかしさが愛らしい。 何やかんやで、足を棒にしながらもようやく梅花皮(カイラギ)小屋に到着。素泊まり1500円也。平日にもかかわらず盛況だ。今日の夕食はA部さんが用意して下さった具だくさんの麻婆春雨。喉ごしが良くておいしい。野菜は全部乾燥処理済みのお手間いり。温かい食事は体を元気にし心を癒してくれる。明日に備えて19時頃には就寝した。

(記 T中)

早朝の飯豊山山頂(2,105.2m) 左手に飯豊連峰最高峰の大日岳(2,128m)
早朝の飯豊山山頂(2,105.2m) 左手に飯豊連峰最高峰の大日岳(2,128m)
飯豊山山頂(2,105.2m)にて 
飯豊山山頂(2,105.2m)にて
飯豊山山頂から飯豊連峰最高峰の大日岳(2,128m)
飯豊山山頂から飯豊連峰最高峰の大日岳(2,128m)

飯豊山山頂から縦走路を見る
飯豊山山頂から縦走路を見る
御西小屋から空荷で大日岳を往復に出発
御西小屋から空荷で大日岳を往復に出発

文平ノ池と大日岳
文平ノ池と大日岳
飯豊連峰最高峰の大日岳(2,128m)に到着
飯豊連峰最高峰の大日岳(2,128m)に到着

大日岳東端にて。右手奥に飯豊本山
大日岳東端にて。右手奥に飯豊本山
烏帽子岳南面のお花畑の中を登って行く
烏帽子岳南面のお花畑の中を登って行く

烏帽子岳南面のお花畑
烏帽子岳南面のお花畑
烏帽子岳(2,017m)にて
烏帽子岳(2,017m)にて

飯豊の星と呼ばれる「イイデリンドウ」
飯豊の星と呼ばれる「イイデリンドウ」
今日のお宿「梅花皮小屋」カイラギゴヤ のアップ
今日のお宿「梅花皮小屋」カイラギゴヤ のアップ

8月6日(土)梅花皮小屋~飯豊山荘

天   候:快晴

概   要:行動時間 8時間5分、距離 10K、累積標高差 登り450m

コースタイム:5:15 梅花皮小屋発→5:25北股岳(2,024.8)→ギルダ原→6:45門内岳(1,887)→6:50門内小屋→7:50扇ノ地紙分岐→(梶川尾根)→8:35梶川峰(1,692.2)→9:30五郎清水→滝見場→(長休憩)→11:30湯沢峰(1,021)→13:05登山口(405m)

記   録

 梅花皮小屋から今日下りる急な稜線が遥かに見える。今日も頑張って歩きましょう。まずは・・・目の前の「北股岳」をやっつけるとしようか!頂上は360度の展望でお天気も良く、昨日辿ってきた「大日岳」「烏帽子岳」「梅花皮岳」に遥か「本山」が綺麗に見えた。この先は花を見ながら気持ちの良い稜線散歩。ギルダ原から門内岳の頂上に赤い屋根の可愛い建物が目立った。お社でした。これが最後の登りでしょうか・・・門内小屋のおやじさんが「この先のぞき込めばヒメサユリがみれるヨ」との情報をゲット。開花時期が外れたか、中々出会えなかったが、扇ノ地紙分岐辺りで可愛い「ヒメサユリ」とご対面。この梶川尾根はキンコウカも満開で楽しく歩けました。ここまでは・・・
ここから1500mの下りが待っている。石コロ、ゴロゴロのザレていて注意。汗が今までより一気に流れ、こまめに休憩を取る 五郎清水は2~3分下った所にあり、美味しく冷たい清水で「あ~有難い!!」滝見場を少し下りた木陰で風も通り長休憩。あと700mの下り。ですが、目の前に最後の「湯沢峰」の登りが待っていました。50mの登りですがきつーい。「湯沢峰」をやっつけたら後は登山口まで600mの急坂。ブナ林が綺麗な所ですが、木の根っこが張り出していて一層の注意を払う。下の飯豊山荘の屋根がだんだんと近づいてきたらあとひと踏ん張り。登山口の道標に辿りついたら感無量!!5人全員で「バンザーイ・ご苦労様」無事に全行程をおえられたのはみなさんのお陰です。有難うございました。

(記 K西)

縦走最終日、梅花皮小屋を出発します。管理人さんと。
縦走最終日、梅花皮小屋を出発します。管理人さんと。
振り返って梅花皮小屋と梅花皮岳
振り返って梅花皮小屋と梅花皮岳

5時半、北股岳(2,024.8m)山頂にて
5時半、北股岳(2,024.8m)山頂にて
北股岳山頂から残り少ない縦走路と梶川尾根(上も右手)
北股岳山頂から残り少ない縦走路と梶川尾根(上も右手)

北股岳山頂にて福岡想山会の三人の女性の方と
北股岳山頂にて福岡想山会の三人の女性の方と
さあ、最後の縦走路
さあ、最後の縦走路

縦走路最後の山頂、門内岳(1,887m)にて
縦走路最後の山頂、門内岳(1,887m)にて
扇ノ地紙から下り始めます タカネマツムシソウと縦走路の山々
扇ノ地紙から下り始めます タカネマツムシソウと縦走路の山々

ヒメサユロリ
ヒメサユロリ
キンコウカで草原が黄色になってます
キンコウカで草原が黄色になってます

石転び沢(今年は雪少なく崩壊ひどく登行禁止)
石転び沢(今年は雪少なく崩壊ひどく登行禁止)
飯豊山荘前に下山 疲れたけど楽しかったね
飯豊山荘前に下山 疲れたけど楽しかったね

8月7日(日) 喜多方市内で蔵の見学とラーメンの昼食

天気にも恵まれ何事もなく下山する事ができました。10時間、10時間、8時間と思っていた通りかなりハードでした。でも感動する事もたくさんあり、とても素晴らしい山行でした。

 

 今日は、ご褒美とでもいいましょうか、喜多方の町を散策です。町中には立派な蔵が建ち並び歴史を感じます。無料で見学することができます。そして所どころで飯豊から流れる水を誰でもが飲めるようになっていて、冷たくておいしい水でした。喜多方ラーメンも食べてきました。(行列ができるお店の隣のお店で。2時間は並べません)福島を12時に出発。一路大津へ。皆様いろいろお世話になりました。 (記 A部)

 

【飯豊山で出会ったお花達】

 

 イイデリンドウ、ノリウツギ、イワイチョウ、ミヤマクルマバナ、ヨツバヒヨドリ、センジュガンピ、タテヤマウツボグサ、ウメバチソウ、ニッコウキスゲ、カラマツソウ、ヒメシャジン、タカネニガナ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマコゴメグサ、ハクサンシャジン、シラネニンジン、ウサギギク、アオノツガザクラ、チングルマ、タカネマツムシソウ、ミヤマシシウド、ハクサンコザクラ、コバイケイソウ、ヨツバシオガマ、ハクサンフウロ、ミヤマアキノキリンソウ、ハクサンオミナエシ、イワオウギ、オヤマノエンドウ、ヒメウスユキソウ、クルマユリ、タカネツメクサ、ミヤマリンドウ、ミヤマコウゾリナ、ハクサンイチゲ、トモエシオガマ、イブキトラノオ、タカネナデシコ、キオン、トリカブト、ヒメサユリ、キンコウカ、イワカガミ、ヤマハハコ、モミジカラマツ等 (記 Y森)

 

 飯豊山縦走の構想を考えて一年以上。数年前には登山口への林道崩壊で実施困難状態でした。修復を待ち、民宿情報等を調べ、この方法が私達女性には一番楽で縦走が楽しめるコースだと思い、やっと今年実施しました。天気に恵まれ、メンバーに恵まれ、飯豊のお花にも恵まれ、とても楽しい縦走となりました。今回ご一緒頂きました皆さまには、本当にお世話になりました。暑さに負けそうになった時、支えて頂きありがとうございました。最高の条件で無事終えられたことに満足しています。皆様ありがとうございました。

(記 Y森)