劔岳 小窓尾根~西仙人谷

日   程: 2015年5月3日(日)~5日(火)
参 加 者: K

記   録

5月3日(日)快晴

 登山口の馬場島派出所に登山届の確認を済ませ駐車地を探す。奥地で、やっと割り込み7時30分に登山開始。予定より1時間遅れ~警察より白萩川タカノスノワリは渡渉一回のみの情報を得ていたので初トライを試みるつもりです。以前に下見の高巻きコースは雪が無く荒れていた。~林道終点の取水口8時30分、白萩川の渡渉場所を探すが腰辺りなの激流で難しい!さらに下流の堰堤から素足で入水して膝ぐらいとなり雪解け水の洗礼を受ける。結果は渡渉に慎重になり小一時間も費やしていた…沢コースに入ると雪渓を四回トラバースを繰り返して池ノ谷出合。 小窓尾根取り付きの標高1120m地のカミナリ岩(10時30分)~小窓尾根の支尾根のルンゼは出だしから雪渓破断が観られたが覚悟して取り付く。雪壁が2mほど分断されており先端からシュルンドに降りて這い上がる。左手に剥き出しの夏道を確認後は上部の雪壁に復帰する。ピッケルと新品アイゼンを蹴り込み爪先立ちです。…心境は「一歩一歩、真面目にコツコツ」そして標高1350m地(12時40分)痩せ尾根までは落石が怖いので休まず登り切る。身体は熱中症気味とサングラスも汗まみれの暑さです。それでも一安心はつかの間でした。雪が消えた尾根は藪山地獄と化す~踏み跡らしきはあれど灌木にザックを引っ掛ける険しき登りです。今度は雪を求め尾根脇のトラバースを繰り返す。P1614(15時)小高いピーク に出ると足が止まる。展望台からは赤谷尾根と早月尾根が左右に並び立つ。…残雪期の両尾根とも思い出深く苦い記憶がよみがえります。前方には今夜のお泊まりはP1990を眺める。池ノ谷側の残雪トラバース時に下方の谷間から沢水を発見する。今日は行動水3ℓ飲み干していたので砂漠にオアシスと恵みに感謝です~さっそく標高1850mの痩せ尾根にテントを張り行動打ち切り。空身で池ノ谷側に10分ほど駆け下り、草付き岩壁のトラバースを慎重にこなす。多い目の沢水5ℓを確保してテントに戻る。これで燃料節約が出来たので、たっぷりと水分補給する。夕暮れは日本海の夕焼けと水平線が今日のご褒美でした。


5月4日(月)午後より雨風強い

 出発前に雨がパラツキしばらく様子見する。~昨夜は暖かく快眠でした。針葉樹と雪山に囲まれ名残り惜しいが6時50分に出発する。P1990に7時40分、ピーク広いがテント跡は無い~前方には尾根のピークが連なり待ち受けている。P2121に9時、やっとニードルが現れる。12時前に雨が本降りとなり岩壁帯突入は危険と判断して狭いコルに停滞を決める。(標高2300付近)北側の雪壁先端を幅2m×3mに広げて二人用のテントを張る…眼下は底無しの谷間、テントの二ヶ所をロープで岩に固定して崩壊の対策するが効果は疑問でした。テント内に装備を押し込むと風雨から解放され天国です。タオルで水滴を拭き取りラーメンを食べると気持ちは落ち着いた。二時間の昼寝から目覚めると夕暮れでした。テントは大雨と吹き付ける風にバタ付くが夕食の仕度とお湯を沸かし明日の天気回復を望む。夜中に二度目覚めたが明け方4時ぐらいまで雨音に荒れていた。


5月5日(火)快晴

 有り難いことに夜明けとともに雨は止み晴れでした。しかしテントは内外とも凍りがビッシリ貼りついて驚く。タワシで擦っても取れず手間です~急転の青空に急かされ6時30分に登攀具フル装備で出る。いきなり岩壁を登り池ノ谷側を巻いてニードルの懸垂点7時15分~2m奥にも補助ロープがありノーロープも可能?単独なので慎重にロープで5m懸垂を選択(所要時間30分)ニードル超え痩せ尾根の下りも険しい。ドームが大きく迫るがドームの正面は雪が消え藪だらけ~ルートは左側に巻いて急傾斜の雪面に取り付く。雪付きの斜面を繋いで何とかピークに出ると8時30分。核心部突入は快晴に恵まれる~ピラミッドピーク辺りの痩せ尾根からトラバースルートが乱れています。池ノ谷側を大きく巻いて馬ノ背を眺めつつ辿り着くと10時。ゆっくりと馬ノ背の左側を歩くが最後は少し際どい岩登りがあります。(残置ロープが多い)マッチ箱に向かうと岩場歩きと這松帯でした。マッチ箱12時20分~小窓の頭13時15分(小窓尾根終了)前方の小窓の王から劔岳を眺めが最高です~小窓方面のエスケープを決め自宅等にメール連絡を試みたが圏外でした。小窓の頭より北面は雪山で無垢の雪面が輝く!劔岳に背を向け一気に駆け下りるとトレースと出会うが人影は無い。予想以上に早く下り、小窓に14時40分。15時…テント泊のつもりが、ここから4時間で日没までに林道終点まで下山可能と判断する。西仙人谷は広いガレバを少し下ると雪渓となり歩き易い。一時間後には標高500mを下り予想以上に順調だ。しかし落石音が谷間に響き後方を何度も確かめる。広い雪渓の中央まで石が横たわり下部ほど荒れはじめて滝音が響く。雷岩より下流では雪渓下を流れる水流が凄まじい。…雷岩の上には花が添えられており冥福を祈る。タカノスワリは二度目の通過でも夕暮れの雪渓は緊張感が漂う。取水口までアイゼン歩行を続ける。取水口の渡渉も登山靴を履いたまま突入するが幸い浸水無しでした。河原でアイゼンを外しヘッドライトを出すと夕暮れ前~最後の林道歩きは、力を出し切ったあとなので長い道のりでした。馬場島の派出所に挨拶すると「藪山でしたか?」~「予想以上に藪だらけでした!」と伝え帰路に着く。


(装備)

テントは二人用、ロープ50m、ピッケル、ハンマーバイル、スコップ、アイゼン、食糧4日分+行動食、水は3~5?、その他です。今回は備品でGPS、アイゼン、サングラス(大)、スパッツ、アルパインパンツ、軽量カラビナを購入。


「追記」

 小窓尾根は以前の秋に下見後、翌年の五月に秋元山行に参加するも天候不順で早月尾根ピストン以後は遠ざかるばかりでした。今年は二月より目標に定め三月後半に単独行で富山県に申請です…。今回は中日の雨予想も込みで実行すると山では3日間とも人に合わずでした。今年も連休の天候は真夏日の暑さと冷雨で厳しく体力勝負でした!



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