日 程: 2014年11月23日(日)
天 候: 曇りのち晴れ(一時小雨)
参 加 者: N田、T見(一般)
コースタイム:
START 6:30グリーンパーク思い出の森 - 6:39オグラス山吊橋 - 06:47においこぶのしの丘 - 07:15 朽木スキー場駐車場 - 7:44 第1エイド朽木スキー場(10km) - 8:20蛇谷ヶ峰 - 08:35ボボフダ峠 - 08:45ヨコタニ峠 - 09:01地蔵峠 - 09:24イクワタ峠 - 09:52第2エイド栃生(22km) - 10:09白倉岳栃生登山口 - 11:33白倉岳 - 12:07鷹ヶ峰 - 12:15第3エイド大彦谷林道(33km) - 12:52雲洞谷山 - 13:07行者山 - 13:14東山 - GOAL 13:39朽木中学校(40km)累積標高差 3000m
記 録:
まだまだトレイルランニングの競技人口は少ないが、レースは少しずつ増えてきている。開催地の町おこしイベントとして行われているものも少なくない。今回の大会もそのような背景で行わるようだ。プロデューサーとしてトレイルラン界の第一人者鏑木毅氏を迎えてのこの記念すべき第1回目のレースに参加してきた。
コースは朽木~栃生周回約40kmのロングと栃生~朽生約18kmのショートの2つ。どちらもゴールは朽木中学校がゴールとなる。ロング・ショート合わせて700名の定員がいっぱいになったそうだ。
スタートはグリーンパーク思い出の森グラウンド。5時すぎに会場入り。有名スポンサーのブースもあり、スタートゲートはこじんまりしているが暗闇に浮かぶ雰囲気は良い。さすが鏑木氏のネームバリューを感じる。受付をすませ、いつでも走りだせるよう準備をする。気温6度。上半身はウインドシェルを羽織りなんとかしのげるが、下は短パンでさすがに寒い。走りだすまで、しばらくのガマン。
6時15分からの開会式では、鏑木氏のコース説明と注意点を楽しいトークで。イチバン最初に申し込んだ人、最高齢参加者の人、イチバン遠くは北海道からの参加者の人、皆14時の表彰式に間にあえば、特別賞が贈られるらしい。この日のゲストランナーも合わせて紹介された。みな、スポンサーがついており、とてつもなく速そう。そうこうするうちに空は次第に明るくなり、スタート1分前のコール。いよいよです。
たいしたトレーニングもしていないのに、ついに未知の領域 40kmのスタート地点に立ってしまった。ここに来て不安になるが、もうどうしようもなく時間は過ぎる。「スタート10秒前!」のコールとともにスタートゲートへランナー全員の意識が集中し、今まさに走りだす魂がギュッと集まる。
一瞬の静寂をおいて、AM6:30 スタート!!
スタートのグラウンドを出てすぐ緩やかな上りになる。毎レース思うが、スタートしてすぐはペースあってないようなもの。結構、皆飛ばす。ここで遅れをとると後で挽回は相当のパワーが必要だし、オーバーペースギリギリを維持しながら前のランナーについて行く。
思い出の森から蛇谷ヶ峰へはすぐに思いつくルートがいくつかあるが、今回のレースでは朽木スキー場からアクセスする。しかもオグラス山吊り橋を渡って思い出の森をぐるっと周回してからのルート取り。とにかく近くて遠い「オグラス」へのコース設定だ。ただ、あの階段を登ることを思えば良しとせねば。
思い出の森周回から林道を抜け、朽木からスキー場へ通じる舗装路へと出た。ここまで急な登りを除いてはずーっと走っている。試走した時より明らかにペースは早いが、無理しない程度に行く。朽木からスキー場へ到着すると蛇谷ヶ峰へのルートは普通は右。しかし、反対の左の駐車場から入部谷越へ向かう。ここも今回のための新ルート。鬱蒼とした場所をすぎると朝陽の当たる尾根に出た。「山と高原地図」では点線ルートだが、踏み跡しっかりで気持ち良く走る。このまま蛇谷ヶ峰へ行かないのが今レースのこだわりなのか。ゲレンデのイチバン上からイチバン下まで下りる。当然走るが、太腿にチカラが入らない。今までのムリが来たかもしれない。ここに来て捻挫とかシャレにならないので、無理せずゆっくりジョグする。そして、スタートから10km地点の第1エイドステーションに7:45に到着。10kmを1時間15分って。あと30kmもあるのにと一瞬心配になるが、何とかなるさーとタカをくくる。エイドではバナナを2つとスポーツドリンクをいただき、元気をもらった。
第1エイドを出発し、やっと蛇谷ヶ峰(オグラス)へ取付かせてもらえる。さあ、いよいよ本格的な登りの始まり。ゲレンデから登山道へ入るが私も含めて走る人はサスガにいない。黙々と歩く。ただ、ここからの蛇谷山頂へのルート、とても歩きやすい。朽木のふもとからスキー場までで標高を稼げているおかげで意外と緩やか。途中、足が攣りそうになったので、これから先の予防のために登山道脇で芍薬甘草湯を注入する。約10人ほどにパスされるが、元気を残して8:20蛇谷ヶ峰山頂へ到着。朝の山頂はどこでも素晴らしいが、ココもちょうど太陽が当たり始めて暖かくなり始めた頃。周りの山々は全体が紅葉した峰が朝の光を浴びてさらに紅くなり、素晴らしい眺めを見ることが出来た。初めて訪れたランナーも多かったようで、「素晴らしい!」との声があちこちから。
やっと一つ目のピークを踏みひと安心。写真を数枚撮って短時間でリフレッシュ出来た。次なる目的地、栃生へ向けて出発。蛇谷ヶ峰から急斜面を下りるとそこは静かなブナ林。気持ちよいトレイルを隊列を組んで走り続ける。先に行ってもらったり、先に行かせてもらったり。競争相手でもあり同じゴールを目指す仲間でもある。時おり会話しながらのランは楽しい。
ボボフダ峠、ヨコタニ峠と順調に進み、地蔵山に差し掛かるあたりから登りが始まる。もう登りは歩いている。走るチカラは残っていない。そんなキツくなってきたころに到着した地蔵峠では有志の方が私設エイドをしてくださっていた。食べ物・飲み物に加えテーブルもあったが、あれを下から運んでいただいたなんて、本当にありがたい。朝暗いうちから準備していただいた方々皆さんに頭が下がります。同行のワンコにも癒してもらって感謝。(ゴール地点ではこのワンコたちに再び会えました)
エイドでパワーをもらい、イクワタ峠に到着したのが9時23分。スタートから3時間かかっていないし、ここから中間地点の栃生までは下りるだけ。この時点でアクシデントさえおきなければ制限時間内に完走出来そうな目途が立った。と、ひと安心したのもつかの間、栃生を目指して下山しはじめるとすぐに脹脛がビクンビクンと痙攣をはじめた。ムリすると肉離れする兆候。イクワタ峠手前から小雨まじりの風に吹かれ冷えてしまったのが原因かもしれない。走りやすそうなトレイルが続くが、慎重に下りることにする。私を抜いて行くランナーも足が攣ったようで、途中で立ち止まりストレッチ。皆同じ条件で頑張っていることが楽しく感じられてきた。
イクワタ峠から25分で栃生へ下りてきた。ここで、国道367号を渡らなければ白倉岳へは行けない。大会前からどうするのか気になっていたのだが、仮設の階段でいったん用水路のような川へ下りて国道の下をくぐる作戦。なるほど、これなら交通整理の心配は要らない。くぐりながら地区の方々の声援をいただき、楽しく渡渉。こういう仕掛けはロードレースでは決して味わえないアトラクション。
用水路から上がったところがすぐ第2エイドステーション。ここは疲労もそろそろピークをむかえるランナーのためか、メニューが豊富。パン・ケーキ・バナナ・オレンジ、スポーツドリンク・レッドブルにノンアルコールのビールまで!!
2~3分の滞在ですぐに第2エイドをあとにする。というのも雨がポツポツと落ちてきたからだ。栃生のロード区間を早く終わらせ雨を防げる森の中に早く入る作戦。一枚着ることなく先を急ぐ。が、約20分ほどのロード区間を走っている間に雨は上がった。予報では晴れだったが、雨雲レーダーでは朽木あたりには雲がかかっていたので、もしかしたらゴールまで雨の可能性も捨てきれなかったし、ひと安心。
ロードが終われば後半戦、というかこのルート全体の核心、距離2.5kmで標高差約700mをイッキに登る白倉岳への登山口にやってきた。スタッフに促されストレッチして臨む。だが、いきなりの急登で両足の内転筋が攣った。しばらく動けない。こんなところの筋肉が攣ったのは初めてだ。いろいろと勉強になる。後からのランナーに先に行ってもらいながら、しばし回復を待つ。この登山口でリタイヤした方がおられると聞いたばかりなのに、ここで「私もリタイヤです」なんて絶対に言いたくない。アミノ酸のジェルを補給してはいるものの、足は相当疲労しているようだ。ただ、関節などの痛みはないのが救い。自分の足の様子をうかがいながらゆっくり出発する。
ここも試走はしていたので、距離感はわかっている。試走の時はフレッシュな体調で約1時間で登ったが、本番ではもう少しかかるだろうと予想していた。だが、終わってみるとほぼ同じ時間で登っていた。おそらく前後のランナーと抜きつ抜かれつをやっていたおかげだろう。今日の疲労度合でひとりならとっくに休憩を挟んでいるところだ。
稜線へ出て、南岳・中岳・白倉岳とアップダウンが続く。これが微妙にツライ。平坦路も歩くことが多くなる。下りも転倒を防ぐためにより慎重になり、スピードダウン。このあたりから前後のランナーとの距離が出来始める。速いランナーはあっという間に行ってしまうし。疲れ切ったランナーは休息をとりながら。かなり息が上がった人を抜き去ることもあった。みんな自分との闘い。
烏帽子岳を越えてからは徐々にトレイルは緩やかになっていく。前後にランナーもいなくなり、ひとり落ち葉で敷き詰めらた静かな晩秋のトレイルをジョグ。足にはもうあまりチカラが入らない状態なので、微妙な下りを惰性で前に進んでいる。しんどいけど、贅沢なんだろうなーといろいろ思いながら。そうこうしているうちにおなかが空いてきてグーグー鳴りはじめた。レースではいつもこうなる。本当はこうなる前に補給する必要があるとは思うのだが、いつものように次のエイドまで引っ張ることにする。
鷹ヶ峯を越えれば大彦谷の第3エイドだ。ルート上に高圧線の鉄塔が出てくればそこはもうすぐ。楽しみで仕方ない。ふと思ったことだが、コース上にこのエイドが無い状態で本来は走らなければいけないのではと考えた。登山にエイドはない。あ、山小屋があるか。けれどチェックポイントも兼ねているし、大会として運営する以上、安全面も考慮すればやっぱり必要。よりストイックに行きたければエイドの補給を受けないのも有りだ。などと、どうでもよいことを考えながら12時15分、第3エイドに到着した。
第3エイドの地元食材のおもてなしに舌鼓をうっている間に後から来たランナーに先を越された。気づけばエイドに到着した時にたくさんいたランナーが誰もいない。休憩を5分で切り上げる。スタッフに「あと7kmです!頑張ってください!」と見送られ、気合十分の出発だ。時刻は12時20分。もう目標だった時間内完走は完全に射程圏内。あとは14時からの表彰式に間に合うかも、と欲が出てきた。こうして調子にのると、天罰はしっかりくだる。最後のピークらしいピークの行者山を越えたあたりで大転倒。杉の根っこに引っかかって前回り1回転!幸運なことに擦り傷ひとつなく復活したが、油断禁物、最後まで緊張の糸はきらしてはいけないことを肝に命じる。ただ、エイドでの補給が良かったのか本当に元気になってきて、ここにきて数人をパス。フカフカトレイルの上をジェットコースターに乗ってる感覚で飛ばし、あっという間に朽木の里が見えるところまで下りてきた。
明護坂の峠がラスト2km地点。時刻は13時23分。本当に14時に間に合いそうだという気持ちと、朝6時半にここ朽木を出発して一周して帰って来ることが出来たという達成感とで何ともいえない気分。あの「何もいえねー!」じゃないけど、本当にそんな感じ。過去の限界を超えていくこの感覚は何物にも替えがたい。
朽木の町が見渡せるところに出てきたとき、反対側には蛇谷ヶ峰がドーンと姿を現す。最後にゴールの朽木中学校まではロードを少し遠回りさせられるも地域の方の声援を受けて幸せな時間。で、最後の最後に中学校のグラウンドまでが登り坂。なんていうコース設定。朽木の町を走っている時に嫌な予感はしていたが…。スタッフや皆さんの声援のおかげで最後まで走り切ることができ、無事13時39分ゴールすることが出来た。目標だった時間内完走、しかも14時の表彰式に間に合ったご褒美付き。そしてどこも故障なし。この日ばかりは自分の足に「最後までよくがんばりました」と。この調子にのっかって、いつかはハセツネ、いつかはUTMFだ。
一緒に出場されたT見さんも、スタートしてから一度も姿を見ませんでしたのでてっきり私の前を行かれてると思っていたのですが、無事14時にゴールされました。
【最終結果】
種目 : ロングコース 男子の部
記録 : 7時間09分15秒
順位 : 144位 / 455人中
大会スタッフのみなさま、沿道で声援くださったみなさま、一緒に走ったランナーのみなさま、
本当に素晴らしい時間をありがとうございました!