日 程: 2013年8月10日(土)〜13日(火)
天 候: ずーっと晴れ
参 加 者: AN
コースタイム:
8月10日 3:30瀬田東=伊那IC=仙流荘8:00=9:00北沢峠−長衛小屋
9:55長衛小屋−10:50仙水峠−12:00駒津峡−13:00甲斐駒ケ岳13:40−15:05双児山−16:15長衛小屋(幕営) 行動時間:5時間40分
8月11日 5:10長衛小屋−7:40小仙丈ヶ岳−8:50仙丈ヶ岳9:05−11:45高望池12:00−13:20横川岳13:40−14:40両俣小屋(幕営) 行動時間:9時間
8月12日 5:20両俣小屋−6:00野呂川越−9:20三峰岳9:40−10:15間ノ岳10:20−11:00三峰岳11:30−12:40熊ノ平小屋(幕営) 行動時間:6時間20分
8月13日 2:30熊ノ平小屋−3:30竜尾見晴4:00–5:30北荒川岳–6:45北俣岳分岐–7:20塩見岳東峰–7:30西峰−8:15塩見小屋−9:50本谷山10:00−10:55三伏峠小屋11:45−13:20鳥倉登山口 行動時間:9時間20分
鳥倉登山口14:25=伊那大島駅=伊那市駅=仙流荘(車回収&お風呂)
記 録:
「仙塩尾根を歩いてみたい」去年からそう思っていた。
今年のお盆休みはたくさんもらえたし、これはチャンス!!
美しい稜線で有名な蝙蝠岳にも行きたいし、せっかくなら荒川岳までつなげたい。といろいろ妄想は膨らむが、初めての長期縦走だし、しばらく山に行けていないし、無理はしない方がいいだろうと、素直に仙丈ヶ岳から塩見岳までつなげるルートにした。
一日目: ウォーミングアップ
初日は運転と寝不足でバテることがほとんどなので、今回はシンプルに移動日。
予想通り、仙流荘の駐車場は車がいっぱい。北沢峠も人がいっぱい。当然長衛小屋のテント場もテントだらけ。運良く川沿いの、結構小屋に近くていい場所にテント設営できて、しばし休憩。
さて、ウォーミングアップに甲斐駒ケ岳へ♪
沢沿いの美しい緑の中を気持ち良く歩き、仙水小屋を過ぎるとゴロゴロ道。快晴で暑いけど、仙水峠が近づくと貴公子が見えてきて、否応無しにテンションが上がる。やっぱり甲斐駒カッコいい!たくさんの人が登ったり下ったりしていたけど、六方石を過ぎて直登コースに入ると、グンと人が減る。昨秋ぶりの甲斐駒登頂。明日から歩く道がかすかに見えて、もうウズウズ。双児山コースで下山してウォーミングアップ終了。
二日目: 縦走路のはじまり と 素敵な出会い
今日も快晴!いよいよ始まる縦走にテンションも上がる!
後半バテないために、ペースが上がり過ぎないよう気をつけて歩く。昨春撤退した場所を懐かしく通り過ぎ、念願の女王、仙丈ヶ岳に登頂!
これから始まる尾根を見て気を引き締め、ドキドキわくわくしながら縦走路に足を踏み出す。ここまでの人ごみが嘘のように、一気に人がいなくなり、静かで好きな南アルプスの雰囲気となる。青空の下、近づいてくる北岳の美しさに感嘆し、遠ざかる甲斐駒&仙丈を振り返りながら、誰もいない尾根歩きを楽しむ。あーーー幸せ。
最後、横川岳への登りがしんどかったけど、美しい稜線と静かな森歩きを楽しめた一日だった。
両俣小屋では仙丈小屋のお兄さんと再会し、横川岳で出会ったご夫婦と語らい、明日からの計画を再考した(※詳しくは下に記す)。
※ 高望池で、仙丈小屋の小屋番さんがゴミ掃除をしていた。ウイスキーの空き瓶やら錆びた缶やら大量のゴミが埋まっていて、大きな袋に入りきらない程。
『最近はここにテントを張る人は減ったけど、誰かが張ると「あ、いーんだ」と張ってしまう人がいる。ゴミがあると、「ゴミあるしちょっとくらいいいだろう」とゴミを捨てて行く人もいる。』
暑い中一生懸命ゴミを集め、両俣小屋に下ろしていた。自分の荷物でいっぱいいっぱいで、少しも手伝えなくてごめんなさい。
※ 横川岳で、仙塩尾根好き、南アルプス好きのご夫婦と出会った。二人合わせて約20kgで、二泊三日のテント泊縦走とのこと。私も軽量化しなきゃなー。。。
お二人には、キャンプ指定地外でテントを張ることについて、南アルプスの歩き方について、考えさせられるお話をたくさん聞かせて頂いた。
仙塩尾根は長く、テント場とテント場の間が遠いことからキャンプ指定地外でテントを張る人がいるけれど(仙塩尾根に限らず、南アルプス全般に言えることだ
が)、営業小屋もあるし、きちんと計画を立てて歩けばキャンプ指定地外でテントを張らずに済む。
テントを張りたいからと営業小屋を使わないのはエゴだし、テントを張ればそこに生えてくるはずだった草花が踏みにじられることになる。みんながマナーを守れるモラルのある人であればまだ良いが、そうではない。誰かが張っていたことを見たり聞いたりしたら、心ない人がそこに張る可能性も出てくる。
私も、三日目はキャンプ指定地ではない『北荒川岳キャンプ場跡』にテントを張るつもりだった。“キャンプ禁止ではないから”という理由で。(翌日通ってみたら、キャンプ禁止になっていた)
でも小屋番さん&ご夫婦とお話し、自分の身勝手さや、『山を歩かせてもらっている』という謙虚な気持ちを忘れていたことを反省した。
「私はゴミを残したりしないもん」「山好きはみんないい人」と思っていたが、そうではないんだよね。
美しい山や森を守るために、これ以上自然を壊さないような山歩きをしていきたいと思う。お三方に出会えて、本当に良かった。
テントの中で地図を広げ、翌日は熊ノ平、四日目は三伏峠に泊まって、五日目に下山しよう、と決めて眠りについた。
三日目: 明日に向けて充電
お兄さん&ご夫婦に、今日は熊ノ平でテント張りますと伝えて出発。
今日は行動時間も短いし、のんびりゆっくりと南アルプスの森と絶景を楽しみながら歩く。三峰岳への登りは何度も騙されてくじけそうになったが、振り返ると仙丈から歩いてきたみちがどどーんと見えて、大感動(泣)
「あー仙塩尾根いいなー」と何度もため息が漏れる。
そしてこれから歩く塩見岳への道を見て、またワクワク。
さて、ザックデポして間ノ岳まで爽やかにお散歩〜♪
昨秋の白峰三山縦走時は大雨で何も見えなかったので、快晴時に登頂できて嬉しい。でも雲がもくもくで、見放題のはずの富士山は見えなかった。残念。
熊ノ平小屋は水が豊富で、とっても美味しかった。間ノ岳を目の前に眺めながらの一等地で、ソロテント4張で山談義を楽しむ。
明朝はペルセウス座流星群のピークだしと早めに就寝。
四日目: 早出早着 そして最終日
2時起床、3時出発のつもりだったが、目が覚めると2時半!!やばいっ寝坊したー!と慌てるも、お隣さん(黒戸尾根から甲斐駒を登り、仙丈登って一昨日両俣、昨日は三峰にザックデポして北岳までピストンして熊ノ平、今日は高山裏まで行くという強者)しか起きていない…あれぇ??
テントを撤収しながら空を見上げると、「あ!流れたー!!」満天の星空に、いくつもの流星。小声でキャーキャー言いながら、「早く稜線に上がらないと!」と急いで出発した。テン場からCT1:30の竜尾見晴に4時半に着いて、ほっと安心。
どこを見ても星しか見えない真っ暗な世界にただ一人埋もれて、本当に静かで、贅沢な時間を過ごした。
30分後にお隣さんがやって来て、
「3時出発って言ってたのに出るの早かったですねー」「ん?いや私3時半に出たし」「いや僕3時に出ましたよ」「・・・え!?今何時??」「4時です」
がーーーん。。。いつの間にか時計が1時間早くなっていたみたい(汗)「だから全然空が明るくならなかったんだ・・・え!なら北荒川岳まで歩いとけば良かった!」と慌てて歩き出す。日の出の瞬間を稜線上で見ることはできなかったけれど、早く出発したから星空&流星が綺麗に見られた訳だし、暑くなる前に歩いてバテずに済んだ訳だし、結果オーライということで。。。(笑)
北俣岳分岐まではとても歩きやすい道で、美しくそびえ立つ塩見岳と、雲海と富士を眺めながらの幸せな稜線歩き。
『仙丈から塩見まで歩く』という目的がもうすぐ達成される喜びと、『もうちょっとで終わってしまう』淋しさとが入り交じるけど、「いやーほんと、幸せー♪」誰もいないから独り言も大きい(笑)
雨天強風だったら重荷に振られて大変だっただろうと、天気に恵まれたことに感謝しながら塩見岳に登り、歩いてきた稜線の美しさ、山々の素晴らしさ、ここにいられることの幸せを噛み締める。
まだ7時半。噂に違わぬ美しい蝙蝠岳の稜線歩きや、南アルプス南部の縦走旅に思いを馳せながら、今日下山できそうだなーと三伏峠を目指す。
塩見岳西峰から天狗岩までは、なかなかスリルのある岩場だった。鳥倉登山口でお話した方によると、鎖をつけると登山者が増えるからつけていないらしい。
三伏峠では熊ノ平のお隣さんに再会したので、「この先も気をつけて」と声を掛けて大休憩。鳥倉ルートは足元フカフカ、最後まで緑いっぱいで美しく、楽しく下山できた。
さて、鳥倉登山口では約1時間のバス待ち。退屈だなーと思っていたが、北岳から塩見までをウルトラライトとライトで縦走した二人組にコーヒーをもらい、思いがけず楽しいお喋りtimeとなった。
冬山のことを考えると歩荷訓練はやめられないけど、“夏山を軽く速く遠く”にも惹かれるので、参考にしてみよう。
鳥倉からバスとJRを乗り継いで長い車回収の旅を終え、仙流荘で汗を流し、『青い塔』でソースカツ丼を頂いて、帰途についた。
おしまい。
【感想】
南アルプスの雄大な自然の中で過ごした4日間はとても充実していて、山の素晴らしさ、登山の楽しさを改めて感じられる4日間だった。
テント泊装備で最後までバテないで歩き通せるか、途中で心折れないか不安もあったけど、疲れない歩き方、ペース配分がわかってきた気がする。
お天気に恵まれ、出会いにも恵まれ、心に残る良い夏の思い出となった。
さて、次はどこへ行こう♪